今回読んだ本は、宮本輝さんの長編作、「流転の海」です。
1982年から2018年のという長い期間を経て完結した宮本輝さんの代表作です。
流転の海、私より年上。先輩ですね〜。
「流転の海」で印象に残った言葉
時代は戦後間も無く。
宮本輝さんの実の父親をモデルとした松坂熊吾の半生を描いた作品です。
熊吾は少々めちゃくちゃなところがあるのですが、熊吾のセリフには多々心にグッとくるものがありました。
「人間は、物だけでは幸せになれん。と言うて、心だけでも行きちゃいけん。」
「たった一回の空襲であっけなく焼亡したように、金や財産や地位や名誉などは、俺の人生にわずかな潤いしか与えはしない。死んでからもなお持っていける物ではないのだ。それらはみな、俺の人生の最後を飾るものとはならないのだ。」
流転の海 宮本輝
上には二文しか引用していませんが、他にも素敵なセリフがたくさんありました。
人生訓になるような含みのある表現がたくさんあり、良い小説でした。
ぜひ読んでみてください。
自分の天分は何であるか?人生の目的とは?
熊吾は何度か結婚を経験するも、なかなか子供ができず、50歳を超えてやっと一人息子ができます。
そして、自身の天分が「この子を20歳になるまで立派に育て上げること」なのではないかと思い始めます。
また、熊吾が経営する会社が軌道に乗り始めるも、病弱な息子と体調を崩した妻の療養のため、会社を畳んで故郷のある四国の田舎に引っ越すのが良いのではないかとも考え始めます。
「軌道に乗り始めた事業」と「家族の健康や幸せを天秤」にかける状況になったわけですね。
そんななか、妻と息子が故郷の野山で元気駆け回る姿を想像しつつ、下の結論に至ります。
それは金では買えんのじゃ
流転の海 宮本輝
上の引用とも共通することですが、金や財産や地位や名誉や物などだけでは幸せにはなれないのです。
金で買えない幸せや生きがいといったものがあってこそ、充実した人生となるのでしょう。
この本を読んで、
自分の人生における幸せはなんだろう?
自分の天分とはなんだろう?
こういったことを考えるきっかけになりました。
人間の天分は子孫を残すこと?
今現在、「天分」といったものを私自身、認識できていません。
特別な才能があるのなら、それを活かして人を幸せにしたり、人の役に立ったりするのが、天分になるのでしょう。
私の天分も熊吾と同じように「子孫を残して、20歳になるまで成長を支えること」なのだろうか?
そういったことも考えますね。人間も動物ですからね。
使い古された言葉を使うのなら、「先祖代々繋がれた命のバトンを、これからの世代に繋げていくこと」が人間の共通の天分なのかなと考えたり。
ただ、家庭を持つということは、責任を負うということです。
私にはまだ家庭を持つことの責任を負う覚悟ができていないと認識しています。
天分なんてものは人間が作り出したもので、そもそも存在しないのかもしれません。
人生楽しんで生きれれば、それで良いでしょう。楽しんで生きるのが、全ての人間の共通の天分なのかもしれません。
んー、考えれば考えるほど、よくわからなくなってきました。
今日はこの辺で。
それでは!
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